秋の香りに包まれて、最愛の家族が空に旅立ちました。

14年前の夏、永崎海水浴場で子猫の鳴き声に引き寄せられて向かった監視塔。炎天下の中3匹の子猫が監視員に保護されていました。

生後2か月くらいだったでしょうか。1匹は野鳥に襲われ瀕死状態でした。真夏の海水浴場は監視塔の日陰でも焼けるような暑さで、このままここに置いておいてはこの子たちは死んでしまうと思い、いったん連れて帰り引き取り手を探すことにしました。

実家の両親に事情を話し、里親が見つかるまでとの約束で預かってもらうことになりましたが母親の情がわき結局3匹実家で飼うことになっていました。

それからわたしは実家を離れてしまったため、その子たちと過ごした時間は少ないですが3匹みんな猫らしくないくらいにわたしに懐いてくれ家族のように大切な存在でした。

連絡がきたのは亡くなる1週間ほど前。1匹の具合がよくないから病院に連れて行くと腎臓の数値がかなり悪いとのこと。

もう食事も水もほとんどとれないとのことでしたが、回復を願いその子が好きなごはんを持って様子を見に行きました。

ぐったりして窓際に横たわり、触るとふわふわでやわらかいはずの体が硬くなっており、穏やかだったはずの表情がきつく険しくなっていました。もう食事がとれないはずなのに、わたしが買ってきたごはんに興味をしめし手であげると一口だけなめてくれました。残りの体力を使って鳴いてくれ“ありがとう”と言ってくれた気がしました。

早く痛みがとれるようにお祈りするね、痛かったら全部私がもらうから大丈夫だよ、と腎臓の位置に手を置きました。

翌日、今までにない感覚の痛みで起き、痛みのある場所はちょうど私の腎臓の位置でした。あの子の痛みがとんできたのかな。少し痛みが和らいでくれたらいいなと思い仕事に向かいました。

その翌日、夢にその子が出てきて“もう限界だよ”と言い残したまま夢が終わりました。

嫌な予感がして目を覚ましスマホを見ると父からその子が亡くなった連絡が入っていました。

沢山のお花を添えて“出会えてよかった、ありがとう”と伝え見送りました。

誰よりも食いしん坊で、ましゅまろみたいに埋もれたくなるくらいふわふわで、マイペースで穏やかで気づくといつも寄り添っていてくれた君。

来世、君はどんな形で転生するんだろうか。

またあいたいな。

*requiescat in pace*

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